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「うーん、どうしよっかな。つーちゃんでもみーちゃんでもいいけど、つぼみんも可愛いなぁ。あたしずっと妹が欲しかったんだよね」
大事なものを漏らすまいと気をつけるみたいに、口角がきゅっとあがった。
「つぼみんはちょっと、恥ずかしい……ですね」
正直な気持ちを言葉にしたら、気持ちがふっと軽くなった。
「ねぇ、電車いっちゃったけど次はすぐくるの?」
「はい。たくさん、いるんで」
「じゃあさ、その電車が来たら起こして?」
「えっ?」
もしかして寝るつもりなんですか、と言い終えるまえに、みどりさんはその小さな頭をわたしの肩に預けた。
彼女の髪から南国のフルーツが熟れてはじけたような香りがして、きっと大人の女性が使うシャンプーなんだろうなと思った。
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