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『今どこ?帰りついたら連絡して』
久住君からまたすぐに来たメッセージの意味がよくわからなくて、どう返事するべきか悩んでいたら、みどりさんが小さくつぶやいた。
「優しい子だね」
「え?」
「あなたのことを心配してるんだよ」
「心配?」
まるで幼稚園児に言いきかせるようにゆっくり声を言葉にして、いつくしむような目でわたしを見ていた。
心にぽっかり空いていた穴に
ぎゅんと風が吹き込んだみたいだった。
なんの前触れもなくいきなり切なくなって、さっきホームの向こう側に投げ出そうとしていた複雑な気持ちがまた押し寄せてきた。
「あの。やっぱり連絡先……教えてもらえませんか?」
勇気を出した問いかけに、彼女はすぐほころんだ表情を見せてくれたけど、なぜか長い睫毛を伏せてしまった。
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