3 みどり

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「わたしなんかで、いいんですか?」 「もちろん」 「さっき会ったばかりの他人ですよ?」 「そうだけど、また会いたいもん」 返事に困っていると、彼女は私の顔を覗き込んで目を細めた。 「だからさ、突然いなくなったりしないでね、あたしの前から。あたし達はもう繋がってしまったんだよ」 彼女のその声が、こころの奥の奥のほうまで深く響いた。 「……預かります。またあなたに会いたいから」 少しためらった末に、それをしっかり手のなかにおさめた。 「よかったぁ」 アナウンスが流れて、電車がもうすぐホームに到着することを告げていた。 「読んでみてよ、途中のページだし裏と表しかないけど」 「いいんですか?」 「もちろん」 みどりさんは大きく息を吸い込んで、しっかり頷いてくれた。 それはちいさな紙切れが、わたしの手のなかで特別なものに変わった瞬間だった。
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