4 ふたり

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後ろ向きに跨いで座って、運転手にもたれた。ちょっと頼りない背中が、ちゃんと俺の体重を支えてくれている。 すげー前傾になってんな。 でもなかなかのリクライニング加減。 全然悪くない。明日からもこれで登校しよ。 「久住君、寝た?」 「寝る。もう寝る。サイコー、らくちん、あざっス」 「わたしもう、足が、ガクガクで」 「はぁ?弱音吐くの早くね?」 桜の花びらが、ふわりと目の前を横切った。 「もうすぐ、正門前だし」 「それが?」 「みんなに、見られるよ」 「で?」 「……恥ずかしくない?」 「神崎さんは恥ずかしいんだ?」 「誤解されるかも、いろいろ」 「誤解?」 俺が神崎さんをいじめてるとかって? 「うん。久住君は、目立つし」 「そーいうの気にすんだ?」 「……うん」
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