1 つぼみ

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一限目あとの休み時間が終わる頃、久住君は突然起き上がった。 「ゾンビみたいなヤツだなおまえ」 嶋野君が突っ込むと、いつでもクラスに笑いが起こる。 「起きたら職員室に来いってさ、ヨネが」 クラス委員の谷崎君も、担任からの伝言を久住君に伝えにきた。 久住君はまだ眠そうな目をこすりながらそれに適当な相づちをうつと、机のうえに出しっぱなしの嶋野君のノートを取り上げて、中身をぺらぺらとめくりはじめた。 「おい、貸してくださいくらい言えんのか!」 「うっわ、なにこれ象形文字かよ。こんなんじゃ俺また赤点じゃん」 「はぁ?」 「写す気うせるわぁ」 「おまえ何様だコラ!頭がわりぃのを人のせいにすんな!」 そんな二人のやり取りの着地点が、まさか自分だなんて思いもしなかった。 「ねぇ、さっきのノート貸してくれない?」 声の方を見ると、久住君がこっちを見てにっこり笑っていた。
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