4 ふたり

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俺は他人の目なんてたいして気にならない方だけど、ツレの神崎さんが嫌がってるのならその気持ちを尊重することは、きっと大事なんだろう。 そんなふうに少し考えてから、 降りる。と返事した。 上体を起こしたら、自転車が止まった。 正門前の桜並木に差し掛かる前で、生徒はまださほど見当たらない。 立ち上がって彼女を見たら、息を弾ませてうっすら汗をかいていた。 「ありがと」 「久住君、ここから歩ける?」 「うん、ここからはね。てことで明日もよろしく」 「えっ……」 露骨に嫌そうな顔をしたのが可笑しかった。
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