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「お弁当、作れるんだ?」
「うちはずっと父子家庭だったし、しかも父親がポンコツだからね」
「でも今日の、お弁当は……」
彼女が言葉を濁すのがまどろっこしい。
「交換するかしないか。どっち」
少しイライラして高圧的になってしまった。
見た目を地味にしても、短気は簡単には治らない。
「交換、します」
彼女はバッグから自分の弁当箱を取り出して、ちいさくお辞儀した。
「甘い卵焼きうまかったなぁ、今日も入ってる?」
そう言いながら弁当を差し出したら、
俺の目をじっとみつめてきた。
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