4 ふたり

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風がふわりと吹いて 肩まである柔らかそうな髪が揺れた。 淡い光を透かした茶色の毛先が彼女の頬を微かに撫でて、胸のリボンを当たり前のように翻してる。 誰かを祝福するみたいにいっせいに散った桜が、青空を泳ぐ魚の群れみたいだった。 たったそれだけのことが、悲しい映画のワンシーンのように胸に迫ってきて、 こういう気持ちをなんと形容するのか俺にはちっともわからない。 ただ、神崎さんがやけに小さく見えてしまった。 手足も細くて頼りない。 こんな華奢な子に全体重を委ねてマジ寝しようとしていた自分が信じられないくらいだった。 ひたすら反省していたら、学校のほうからハッキリとチャイムの音が聞こえてきた。 「げっ、マジかよ」 「どうしよう」 「いいから早く後ろ乗って!」 「えっ、だって……」 「優等生ってのは遅刻しちゃダメなんだろ、ほら」
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