1 つぼみ
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「う、うん」 ノートを手渡してから、これはお礼を言うチャンスだと気がついた。 「あの、さっきは……」 「え?」 「えーっと、あの…」 「はい?」 「なんでも、ないです」 結局勇気がなくて、そのまま会話は終わってしまった。学校でも家でもあまりしゃべらないからか、自分の声の細さにびっくりした。 きっと久住君は、何も聞き取れなかったはず。
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