いちょうの実
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兄弟のなかでぼくだけが、その黒い羽に見惚れてやまなかった。その美しい漆黒をお日様に輝かせて飛ぶことは、どんなにかすばらしいだろうと思っていた。 「私ほど賢い鴉であれば、実を丸呑みしては結局糞と共に落とす他の鳥とはちがって、殻を砕いてから喰うことができますからねえ。今からそうしてやってもいいんですよ、坊っちゃん」 鴉が、大きく口を開ける。びゅるる、びゅるる、と風が鳴る。 そして真っ暗になった。
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