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それから10年。
まだ戦は、日常の様に続いていた。
「何だお前は?」門番は先程から、城門の前でずっと佇む男に向かって言った。
「俺を試してもらえぬか?聞けば壬生様は、腕のある男は取り立ててくれると聞いた」
男はそう言って、一歩前に出た。
「おい、勝手に近づくな!お前みたいに汚い輩は用ないわ!」と門番が喚いた。
すると「何を騒いでおる」と城内から、1人の武士が現れた。
「あっ、これは武内様!この者が殿に、取立てろと喚いておりまして…」と門番が説明していると「喚いていたのは、そなたであろう」と男が静かに言い直した。
「な、な、何だと!この野郎!」と門番はムキになってまた喚いた。
「まあ良い。お主、名は何という?」
「はい。野里 十郎と申します」と男が名を名乗った時、武内は気づかれぬようドングリの実を、指先で十郎めがけて弾いた。
パチンッ
すると十郎は、少し身体を傾けて眉間に飛んできたドングリを、紙一重でかわした。
「ほう」武内は唸った。
そして「良かろう、私について参れ」と十郎を城内へ引き入れた。
「え?あのう、いいんですか?」と呆気にとられてる門番に、十郎は肩を叩いて「そう言う事だ」と言い捨てて武内について行った。
「何だよあいつ、馴れ馴れしい」と納得がいかない門番であった。
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