「あの頃の夏を」

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 真っ赤なスイカにアイスキャンディ。  テントをはったキャンプ場。   蝉時雨の森。きっとカブトムシも、クワガタも。  素麺にバーベキュー。絹のような白い麺はするりと咽を通っていく。玉葱を噛めば、鼻にぬける生焼けの辛さ。  それから夕立の雨宿り。シトシトと降る雨をただ眺める時間。いつ止むだろうかと思いながら、けれど、それがもうすぐだと私は知っている。    次々と通りすぎる夏の景色。  郷愁を起こしながら、その郷愁の中から、次々と、夏が湧き、私の前に広がり、流れていく。  チリン、チリン、と微かに軽い音。  風鈴の誘う、夏の一頁。
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