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そんな砂羽にはとても小暮さんとの付き合いなど話せないが、やはり、礼子と由美には話しておいた方が良いと思い、年が明け、礼子が帰省先から戻ってきた後、マルイ本店の猿カフェで会った。
「さあ、話を聞こうか。ようやく、話をする気になったのでしょう」礼子が言った。
「うん・・・」
「えっ? 何?」と由美
「今からの話をちゃんと聞いてあげてね」と礼子。
私は、半年以上前に自分が置かれた環境、その中での小暮さんとの出会い、相手が既婚者であること、生活費をサポートしてもらっている事、などを掻い摘まんで話をした。
由美は驚き、礼子は、そうだろうと思っていた、という表情をした。
礼子は、自分が同じ立場で同じような人が現れたら、私と同じ選択をする、とはっきり言った。
由美は、不倫だと言う事をどうしても納得出来ない(不倫が許せない、ではなく、私が可哀想だという感情だった)様子だったが『陽菜がそれで良いのなら』と理解してくれた。
少なくとも、親友関係が壊れなかった事に、私はホッとした。
その事を話すと、由美が怒った。
「たとえ、陽菜が殺人者になっても、私は陽菜の親友よ。何故、去年、困ったときに言ってくれなかったの」
殺人者とは極端な・・・
「それは陽菜の優しさだよ。だって、お金の相談されても、私たちに何も出来ないじゃ無い」礼子が言った。
「それも、そうだけど・・・」由美はまだ少し不満そうだった。
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