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仕事だから仕方が無いとは判っているのだけど、楽しみにしていたから、落胆度は大きく、どうにも腹が立ってしまう。
そんなとき、小暮さんは一所懸命、私の機嫌をとり、それで私が機嫌を直すと言う事を繰り返している。
その事を礼子と由美に話すと、普通の愛人なら切られてるね、と言っていた。
「あんた、小暮さんから返事が来なくなるとか、終わりにしようと言われる事を考えないの?」
そう言えば、まったく考えたことが無かった。私が何をしようが、ずっと側にいてくれるものだと、思っていた。
「それが恋人の感覚なんだよね。まず、一緒に居ると言うことが前提で、物事を考えてる」
本当は夫婦でさへ別れるんだから、恋人どおしなんて、ちょっとした言葉や態度の行き違いで、相手を傷つけ、別れる事が多いんだけどね、と礼子がボソッと言った。
つまり『ましてや愛人なんだから、気に入らないことをしたら、即、切られるんじゃないか』と言うことだ。
私は、ゾクッとした。確かに、いつ切られてもおかしくない立場ではある。
「もしかして、自分の立場を再認識した?」
「した。どうしよう」
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