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レストランに着くとスタッフが満面の笑みで迎えて、席に案内してくれた。
小暮さんの手を離し、スタッフの後に続く。
よし、転けないように、なんて、慣れない靴なので少し緊張していた。
ひとり真剣な顔つきでテーブルを見つめていた人が佐伯さんだった。
私の姿を認めると立って、両手を少し広げ笑顔で歓待を示し迎えてくれた。
「美しい!」
最初にそう言った後で「佐伯です」と名乗ってくれた。私も自己紹介しようとすると「陽菜さんですね。小暮から話は聞いています」と言った。
「はい、よろしくお願いします」
私がスタッフが引いてくれた椅子に座ると、二人も続いて座った。
小暮さんがスタッフと何か話をしている間に、少し佐伯さんと話をした。
「想像してたより遙かに美しい」
「あまり褒めないでください。豚でも木に登ってしまいます」
「豚だなんて、とんでもない」
佐伯さんは小暮さんとは長らく会っていないが、メールでやりとりはしている、と言っていた。
付き合い始めた頃から、私のことは伝えていた様だ。綺麗になった、また、綺麗になった、と何度も嬉しそうにメールしてくるんですよ、と笑っていた。
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