第1話 プチ愛人

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新しい恋人は、私より少し年上の大学院生だったので呆れた。 「生活費、どうするの?」 「家(マンション)は、そのまま住んでいいって」 そして続けた。 「生活費や慰謝料は渡さないって、ケチよね」 当たり前だ、浮気したのはあなただ。 慰謝料は本来、あなたが払わなきゃならないのに、住むところを確保してくれた上に、慰謝料を免除してくれたのだから、文句では無く感謝しなけりゃいけない。 そう、思ったがそんな事を理解する女では無いので、止めた。 「私の授業料と仕送りは?」ふと、心配になって聞いた。 「私の生活費は渡さないけど、あんたの学費は大学を出るまでは、今まで通り渡してくれるって。仕送りは、来年の3月までは渡すけど、それ以降は自分で何とかしろって」 良かった。少なくとも学生生活は続けられる。来年からは奨学金を借りて、仕送りの代わりにしよう。卒業し就職したら、母親からも独立できる。(実際には既に独立しているようなものだ) 授業料とは別に毎月6万円を仕送りしてもらっていた。 あとはバイトで稼いで、それで部屋代と生活費に充てていた。     
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