第3話 軽井沢デート

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「陽菜ちゃんの話を色々聞くだけで、いい経験だよ。多分、ふたり歳が離れているから、住む世界が違っているんだよ。だからお互いに新鮮なんだ」 「そうですね、そう思います」 本当は、上品な小暮さんと下町的な私とでは、歳以外にも住んでいる世界が少し違う気がする、と思ったが、その事は言わなかった パンの端にバターを付けて、両手で持ってかじった。 小暮さんがニコっと微笑んだ。 「なにか、間違った?」 「別に、何でも無いよ」 こんなにニコニコしてる時は絶対に何かある。 「何? 言ってください」 「言いたくない」 「いいから!」 「う~ん、パンは、一口で口に入る大きさに手でちぎって、それにバターを付けて食べるんだけど・・・、陽菜ちゃんはそのままで良いと思うよ」 あわてて、パンを皿に戻して言った 「どうして(そのままでいいの)?」 「だって、リスみたいで可愛い食べ方だもの。僕はその方(食べ方)が好きだよ」 そう言って、さあ、食べて食べて、と手を付けていない小暮さんのパンも私の皿にのせ、その皿を私の方に寄せてきた。 私は、「仕方が無いなぁ」そう言って、またパンを両手で持ってかじった。 まだ、暖かくて美味しかった。 ふふ、可愛い、小暮さんが言った。 前回会った時に、気になっていた小暮さんの懐具合の疑問は解消した。     
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