第20話「二十二」

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 アイシャが翳した右手の先から大量の魔弾が放たれ、イリヤが長銃から撃ち出した弾丸が広範囲にばら撒かれる。  多数の魔弾は、敵が売ってきた軌道の先へ吸い込まれるように襲いかかった。 『散魔弾(ショットガンバレット)』、通称『STバレット』は、広範囲に多くの小さな魔弾を放つ魔技である。威力は普段使っている魔弾よりも低くなってしまうが、命中度は格段に上がる。しかも、イリヤの魔力量を持ってすると通常の魔弾と威力は然程変わらなかった。 「当たらなかった?」 「コールが鳴ってねえから防がれたんだろ。被弾はしたかもしれねえかもな」  反応が無かった為外れてしまったと判断するヒロに、ジャンが予想を伝える。あの物量を一人も犠牲を出さずに凌いだ。流石銀級上位だと感心する。 「静かだ……」 「来る」  静寂に包まれた中でつい呟いていると、イリヤが緊迫した声音で発言した。  その直後、魔剣を発動したレイジ、ニッタ、ハルの若いメンバーが一斉に襲撃してくる。 「「はぁぁぁあああああ!!」」 「『TPバレット』」 「『シールド』」  彼等との距離はまだ僅かに離れている。イリヤは先頭にいるレイジの眉間に狙いを定めて徹甲魔弾を放つも、予期されてたかのように魔盾を張られ防がれてしまった。  今のは恐らくレイジが発動した魔技ではなく、どこかに隠れているベックマンの仕業だろう。タイミングといい、遠くに離れた場所に魔盾を発現する魔力制御といい、やはり踏んでいる場数が違う。
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