第20話「二十二」

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 イリヤが忠告を放った直後、ベックマンが魔言を口にすると共にジャンの足場が炸裂し、“落下する”。  落下と言っても1メートル程の深さで、上から見ると横幅が広く底の浅い落とし穴になっていた。 (何がどうなってやがるッ!?)  両足に衝撃を受け、さらに足場が消えてしまって狼狽しているジャンは背中から地面に激突し、無防備になってしまう。この千載一遇のチャンスを、この男が見逃す訳がなかった。 「『STバレット』」 「『シールド』!」  斜め木の上から、穴を覆う程の散魔弾をベックマンが撃ち放つ。思考が麻痺しているジャンの代わりに、イリヤが穴を塞ぐように魔盾を展開した。  ズダダダダダダダダダダダッ!!  と、魔弾の雨が降り注ぎ、傘の役割をしているイリヤの魔盾と衝突すると轟音が鳴り響く。  一先ず窮地を脱した。胸中でそう安堵したジャンに、ベックマンがさらに用意していた作戦を開始する。 「『TRバレット』、オン」 「うごッ!?」 『TRバレット』には敵が引っ掛かる自動式と自分の意思で発動する手段式がある。ベックマンが落とし穴で使っているのは、手動式だった。  尻餅をついていたジャンの足下から再び罠の魔技が発動し、炸裂した。幾ら威力が低いからと言って、二度も直撃を受ければ有効打になる。必然的にマナブくんの効果は消失し、 『チーム・ヒロ、ジャン脱落』  ヒロに続き、ジャンも脱落してしまった。
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