第20話「二十二」

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「クソ……」 「…………」  ジャンは悪態を吐きながら静かに立ち上がり、何も出来ない自分に腹を立てながらヒロの下へと向かう。そしてイリヤも、無言で驚愕していた。 (二段構えの罠……最初から狙ってた?やっぱりあのオジさんと戦うのは面倒臭い……)  内心で深いため息をつくイリヤ。  階級戦が始まり、すぐに移動して落とし穴を作った。落とし穴自体は魔弾か何かで作ったのだろう。底に罠魔弾を張り、さらに足場に罠魔弾を張って二重の罠を作った。  ヒロへの罠魔弾で布石を作り、ジャンに警戒心を芽生えさせた。どこまでが計画通りなのか定かではないが、今のところ完璧にあちらの術中に嵌っている。ベックマンは本当に頭がキれる男だ。 「ニッタ、あの嬢ちゃんは狙撃手(スナイパー)だが近接戦闘も結構デキる。俺もそろそろガス欠で援護も難しいから、十分注意しろよ」 「オッケー、ベックマンさん」 「……」  木の上にいるベックマンが注意を促し、ニッタは勝気な笑みを浮かべながら首肯した。ベックマンも、あれだけの罠魔弾を持続させれば魔力が底を尽きてもおかしくない。  イリヤは横目で、レイジとハルの二人にてこずっているアイシャを一瞥する。 その後、仕方無いといった表情で小さくため息を溢すと、 「『バレット』!」 「……」 『チーム・ヒロ、イリヤ脱落』 「あれ?」  ニッタの強襲に抵抗する様子を見せず、簡単に脱落してしまった。
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