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その筈、だったのに――。
(こいつ、何でッ!?)
(三人がかりなのよ……どうしてまだッ)
(倒れないんだろう!?)
三人は不可解な現象に焦りが生まれる。
自分達は銀級上位だ。それも、連携に於いては銀級の中では右に出る者が居ないと自負している。それだけの鍛錬とチームワークを積み重ねてきた。
ならば、何故目の前にいる金髪の少女は未だに倒れないのだろうか。三体一の有利な状況で、激しく攻めているのに関わらず後一歩が届かない。
逆に、隙あらば此方の首を刈り取ろうとしてくる。彼女から放たれる圧力が、徐々に徐々に増しているのをレイジ達は近くで敏感に感じ、自分でも理解出来ない焦りを覚えていた。
◇
(見える、敵の姿が……どうしたんだろ私、これまでにないくらい集中してるのが自分でも分かる)
不可解な現象に陥って困惑してるのは、アイシャも同じであった。
三体一の劣勢な状況にも関わらず、少しずつ敵の動きについていけている。次にどんな攻撃をしてくるかという予測が瞬時に浮かび、頭よりも早く身体が駆動する。
(何だか懐かしいわね、この感覚……)
魔族の世界は弱肉強食。弱い奴は死に、生きる為には強くならねばならない。それは、魔王の娘であるアイシャも例外ではなかった。
小さい頃から王宮の兵士と厳しい訓練を行い、魔物の目の前に放り出されて無理矢理戦わされた。死にもの狂いで戦い、意識を半分失いながらも殺しきった。
そんな過酷な弱肉強食の世界で、少女は自分の力で生き抜いてきたのだ。
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