375人が本棚に入れています
本棚に追加
/219ページ
「『アクセル』」
加速は一瞬でいい。その一瞬だけで、アイシャには十分な時間だ。
「ハッ!」
「ぐぉ!」
急激に速度が増したアイシャに反応が遅れたレイジは斬撃を受けてしまう。だが、それでも構わない。こちらは三人で戦っているのだ。
「(背中がガラ空きよ!)『ソード』ッ!!」
「……ッ」
「なっ!?(嘘でしょ、この至近距離でカスリもしないなんて!?)」
そんな馬鹿なとニッタは喫驚する。
完全に虚を突いた筈。
意識はレイジに向いていた。背後を確認していないのに、身体を半身にすることで紙一重で躱されてしまう。
(背中に目でも付いてるっての!?)
「ッ!!」
「ひっ……」
アイシャの鋭い眼光に睨まられ、萎縮してしまうニッタ。紅い瞳の奥には、確かな殺意が孕んでいた。初めて受ける殺気に当てられ、僅かに身体が硬直してしまう。刹那の隙を、アイシャは見逃さない。
「ハァァアアアア!!」
「ぐっ、あ!!」
「ニッタ!!」
『チーム・ベックマン、ニッタ脱落』
アイシャの魔剣による連撃でマナブくんの効果が切れてしまい、脱落してしまうニッタ。
レイジとハルは態勢を整える為にも一旦距離を取った。
「何なんだ急に、動きが別人になったぞッ」
「それに、雰囲気も変わってるね……」
先程までの静かな様子とは一変し、荒々しい激流を彷彿させる雰囲気を醸し出している彼女を一瞥して戸惑っている二人。そんな彼等を落ち着かせようと、ベックマンが近くに駆け寄って声をかける。
最初のコメントを投稿しよう!