シン実は、怪談集。真夜中の散歩

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幼少期に見た グローブのような巨大な蛾 (クスサン)を見た晩に 私 熱を出して 何日間か寝込んだこと思い出すや もはや どうやって そいつから逃げようとしか 考えられず 結局 慰霊碑の裏側 道のない方を滑りながら 降りましたね まあ 低い草の坂なので たいしたことではなかったのだが 着地した時に 足を捻ったのか かなり 痛かったんですよね まあ その夜は 家に帰ってシャワーを浴びて寝てしまったのですが 翌日 足首腫れてしまい 湿布を貼っては 誤魔化していたのですが さらに 一日経って 痛みが引かないので 仕方なく 整形外科行ったら 捻挫しているってことで 市販薬よりも 利く湿布をもらって帰って来ましたね 医者の帰り たまたま友人に出会って お茶をしたのだが その友人 結構 小さな頃から 虫好きの虫屋だったので オオミズアオの話をしたら 目を見張って 鼻息荒く「おいおい それ本当かよ 俺だって いまだかつて見たことない 図鑑だけの虫だぜぇ」と言われても こちらは 嫌な思いしたあとだけに 「中学の慰霊碑の丘で真夜中三時過ぎにいたわ」と教えるも 「あそこかぁ 確かに桜とかの樹もあるしいてもおかしくはないが しかしなあ」と言われました こちらとしては あの幽霊みたいな蛾のお陰で足に怪我してるし どうでもいいのだが 友人が最後に言った一言「ああ そうかぁ お盆の時期だしなあ」って 「おいおい どういう意味だよぉ」 「あそこは慰霊碑だろう そしてお盆 蛾の出現は 霊の前触れとか言うしなあ」なんて 驚かす悪趣味な友人でしたねえ まあ しかし あんな低い草原を降りただけで 足を捻挫って もしかしたら って その話を聞いてから 背筋がぞくって来ましたねえ もしも あのまま 慰霊碑前にとどまっていたら 何かを見ていたのかもねえ? まあ 真夏の真夜中の散歩の話でした その捻挫 なぜか治りが遅かったんだよなあ。 完
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