シン実は、怪談集。真夜中の散歩

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真夏の盛り まあ熱帯夜の道を ふらふら 夜風に吹かれながら 歩いていました うちの近所に母校の中学があり そこの校庭の隅に 何かわからないが 大きな石の慰霊碑がある小さな丘があって なぜか 「あそこなら 涼しいだろうなあ」なんて思いながら 中学の塀を乗り越えては そこへ向かって歩いていました 普段ならば そんなことはしないであろうが その夜は なぜか 缶チューハイをそこで飲んで少し休んでから帰ろうって 思ったんですよね さて 熱帯夜 夜中三時過ぎ 風も止んでしまい アチいだけで しかも 蚊が寄ってきては 刺すので 別にそこが思っていたほど 涼しくもなく 居心地が悪かったので 缶チューハイ飲み干しては すぐに帰ろうと 思ったんですよ が そこで 嫌なものが飛んでるのを見ては 酔いが覚めてしまいましたね 嫌なものって? 別に 幽霊とか化け物じゃあないが 私にとっては 嫌なもの オオミズアオと言う 巨大な蛾だったんですよ オオミズアオ~漢字で書けば 大水青 だろうなあ つまり スカイブルーみたいな 虫らしからぬケミカル色なんですよね それが ふわふわ ふわふわっと 慰霊碑への入り口である道を 漂っていて こっちは 昔 子供の頃 グローブみたいな巨大な蛾(クスサン)を同じく この中学で見て以来 蛾や蝶がめちゃくちゃ 苦手になってしまい まさか そんな所で ケミカル色の巨大な蛾 オオミズアオなんざ飛んで来るなんて思わなかったから 背筋がぞぞぞ~ってなっては そこから 逃げ出してしまいたいのは山々なんだが オオミズアオが 通せんぼをするかのように 道をあっちいったりこっちいったり飛んでて 狭い道を突っ切る気にはなれず しかも そいつは 段々 慰霊碑の方に 近寄ってくるし あの時は まさに生きた心地がしませんでしたね いい大人ならば 蛾なんざ どうってことない思うかもしれませんが オオミズアオ やはり 結構大きいんですよ 揚羽蝶よりも 大きく感じられるし しかも 生物とは思えぬ あのケミカル色の不気味なこと 宇宙からの生命体と言ってもいいと思うくらいだし そして 先ほども言ったが
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