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「さすが写真部。 良い写真を撮ってくれてありがとう」
体育祭の翌日、写真をみんなに見せると、担任の先生や、クラスメイトが次々に写真を褒めてくれた。
「鈴木の腕じゃなくて、被写体の俺がイケメンなせいだけどな」
クラス1のお調子者の中川君がみんなを笑わせる。
「文化祭の写真も頼むわね」
女子からも声がかかる。
こんなにクラスに溶け込めたのも、あの日食い入るように見ていた香山部長の写真のおかげ。
そういえば、あの時展示されていたもう1枚の西洋の古城の様な写真、あれはどこなのだろう。
ふと気になったけど、チャイムが鳴り授業か始まったのでそのまま忘れてしまった。
家に帰ると久し振りに葵にライン電話をした。
葵は、一人ぼっちの時は毎日の様に電話をかけてきたのに、友達が出来た途端電話が減った事を、現金なんだからと笑っていた。
『でも、真尋に友達が出来て本当に良かった。
彼氏まで出来たんだもんね。 先を越されちゃった』
ケラケラ笑う葵に、いつか伊佐市に遊びにきてねと伝えて電話を切った。
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