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香山さんはニコリとして頷いた。
「写真、とても素敵です」
もっと感動を伝えたいのに、上手く言葉に出来ない。
「ありがとう。
次の日曜日に、入部希望者に撮影を体験してもらうのに曽木の滝に行くんだけど君も参加しない?」
「えっと、私、2年生だし……入部とかは考えてなくて……」
「そっか、残念。
でも、入部するしないは別にして、曽木の滝に行ってみない?
景色を見て感じて、最高の瞬間を撮影する感動を体験して欲しい。
この写真に感動してくれた君ならきっと自分だけの1枚を撮る事が出来ると思うから」
この写真の曽木の滝、行ってみたい。
私も写真を撮ってみたい。
「行きたいです」
「良かった。 じゃ、この用紙にクラスと名前、そしてメアドを書いてもらえるかな」
「はい」
用紙に記入されているのは1年生だけ。
今までの私なら、誘われても断ったはず。
伊佐高校に転入してきて、初めて積極的に人と関わりたいと思った。 香山さんの写真にはそれ程の力がある。
「鈴木さんって、昨年の冬に転校してきた?
冬の転校生は珍しいから名前を覚えてるよ」
香山先輩が私が用紙に書いた名前と私を見比べている。
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