15人が本棚に入れています
本棚に追加
私が頷くと、香山先輩はやっぱりという表情をした。
「鈴木さん、前の高校で写真部だったんだね。 それなら入部してよ。 僕が部長なんだ。 わからない事は僕が協力するから」
素直に経験の欄に東京の高校で写真部だったと書いたのを見て、香山先輩は先程までの控えめな勧誘ではなく強引に勧誘してきた。
その香山先輩の態度は嫌なものではなく、自分が必要とされていると感じ嬉しかった。
「もう少し考えさせてもらってもいいですか?」
今決めるのは勇気がいる。
一人でゆっくり考えてから決めたい。
「わかった。 鈴木さんが入部してくれるのを楽しみにしてるから。 じゃ、日曜日の件は写真部の一斉配信メールで送るよ」
香山先輩はもう私が入部するものだと思っているようだ。
「はい。では日曜日。 今日はありがとうございました」
香山先輩に挨拶をして写真部の部室を出る。
空はこんなに綺麗だっけ?
東京の空とは全く違う空の端まで見えそうな伊佐の空。 気持ちまで高揚してくる。
伊佐に来て初めて、伊佐が好きだと思った。
日曜日に行く曽木の滝の事を考えると身体中にワクワクがみなぎってくる。
最初のコメントを投稿しよう!