第一話「天使くんを保護しました」

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『女の子と遊んでみたら?』 『ぬいぐるみ持ってただろ? 話題にならないか?』  物心ついた頃にはミニカーで遊んでいたし、兄と遊びたくてサッカーや野球もした。剣道や柔道、空手なんかもやっていた。 『自分のこと、ぼくって言うのをやめてみろよ』 『女らしくなりたいんだろ?』  親が心配するほどに痣や傷でいっぱい。毎日、汗だくで帰る日々が中学まで続いた。  勉強はそっちのけで、やりたいことやって、共働きの両親を困らせてばかりいた。 『ケンカはやめろ。暴力では何も解決出来ないぞ』  知ってる。わかっている。  解決出来たことなんてなかった。悲しいことばかりが残って、ただ無力さを知るだけなんだ。  でも、相手が暴力でくるなら……。 「戦うよ、私は」  私は何も考えていなかった。天使くんを引っ張り、彼らを階段から突き落としていた。  突き落とした二人に捕まるより先に、私は階段を駆け下りる。  もちろん、天使くんも一緒に。
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