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『女の子と遊んでみたら?』
『ぬいぐるみ持ってただろ? 話題にならないか?』
物心ついた頃にはミニカーで遊んでいたし、兄と遊びたくてサッカーや野球もした。剣道や柔道、空手なんかもやっていた。
『自分のこと、ぼくって言うのをやめてみろよ』
『女らしくなりたいんだろ?』
親が心配するほどに痣や傷でいっぱい。毎日、汗だくで帰る日々が中学まで続いた。
勉強はそっちのけで、やりたいことやって、共働きの両親を困らせてばかりいた。
『ケンカはやめろ。暴力では何も解決出来ないぞ』
知ってる。わかっている。
解決出来たことなんてなかった。悲しいことばかりが残って、ただ無力さを知るだけなんだ。
でも、相手が暴力でくるなら……。
「戦うよ、私は」
私は何も考えていなかった。天使くんを引っ張り、彼らを階段から突き落としていた。
突き落とした二人に捕まるより先に、私は階段を駆け下りる。
もちろん、天使くんも一緒に。
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