第二話「天使くんに嫌われました」

2/6
前へ
/222ページ
次へ
 *** 「それで? なにがあったのか、詳しく聞かせてくれる?」  昨日、このセリフを雪乃に言うはずだった。でも朝一番に教室で逆に言われてしまい、私が驚いている。 「えっと……」 「噂では新入生を彼女から奪ってホテルに連れ込んだって」 「…………どうしてそうなったのか、私が知りたい」  噂って本当に怖い。  朝、学校に来てみれば空気が違う。何が何だかわからないうちに、教室で雪乃の心配そうな顔と出会ったんだ。  雪乃と噂になった時にも、周りから変な目で見られた。それが今回はヤバイ人って目を向けられている。  昨日まで話していたクラスメイトも、友達になろうと言ってきた彼女も、一定の距離を置いて内緒話。  ――――ウザイ。  そんなに私が怖いか。そんなに私が嫌いか。だったらはっきり言えっての。臆病者! 私は幾らでも勝負してやるよ。  というか、聞いてくれたら噂は違うって言えるのに。まあ、信じてはくれないだろうけど。 「夏海、顔が怖い」 「今すぐに暴れたい」 「我慢。お兄さんたちと約束したんでしょ?」 「兄貴たちが合ってるとは限らないでしょ!」 「まあ、落ち着いて。詳しく話してごらんよ」
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加