第二話「天使くんに嫌われました」

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「財布を忘れたの」 「財布?」 「私がラーメン注文したのに、財布忘れてお金がなくて」 「昨日はサンドイッチ食べてたじゃん」 「教室に忘れたの」  私は机から昨日忘れた財布を取り出した。  まさかの天使くんに、二人分のラーメンを支払わせてしまった。そして、ラーメン屋を出た後に言われてしまったんだ。 『さっきのがカツアゲだって言いましたよね? だったら、先輩のこれもカツアゲと変わらないじゃないですか』  返すからと言ったのだけれど、天使くんは冷たい目を私に向けていた。 『最低……ですね』  出会ってすぐに嫌われるという人生初の大事件が起こった。  誰に嫌われても大丈夫だ。でも天使くんにあんな目を向けられて、胸にマンホール並の穴があいた気分。 「夏海、泣かないでよ」 「天使くんを守りたかっただけなのに」 「そうね」  雪乃に撫でられると落ち着く。子供みたいだけど、周りの視線に耐えられない今は子供でいたい。 「なんかさ、私ってすごく不運じゃない?」 「財布ないあたりがね」 「……やっぱり」 「あとさ」
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