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廊下には知らない顔があふれていた。違うと言ってもたった一年。新入生たちのいる三階は別世界みたいで緊張する。
去年は同じ場所を使っていたはずなのに、もう彼らの色に染まっている。
教室から出てくる彼らのどれも、私が捜している人じゃなくて焦る。これだけいたら見落としていても不思議ではない。
天使くんはすでに帰ってしまったのかな。
誰かに聞こうか。名前も知らないのに、どうやって?
でも、ここで突っ立っていたって何も変わらない。
「名前くらい聞いておくんだった」
じっと廊下をくまなく見ているからか、怖い先輩が来たとか思われてるんだろうな。
これが雪乃だったらだいぶ違うんだろう。一緒に来ればよかった。
でも個人的な事情だし、巻き込むのも申し訳ない。
そもそも雪乃がいる前で天使くんと話すなんて無理だ。緊張する、恥ずかしい!!
しかし視線が痛い。
すごく怖がっている子もいれば、奇異なものを見るような子もいて、高校生活が終わったような気分。ずっと平和に過ごしてきたのに、最悪。
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