第一話「天使くんを保護しました」

3/10
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
 雪乃と私が付き合っているなんて、ただ親友の付き合いしているだけなのにな。  オトコオンナなんて昔から言われてた私だから、仕方ないといえば仕方ないのかな。雪乃には申し訳ないけれど。  というか、高校生になってからはだいぶ女の子してるんだから、噂の方がおかしい。  私は悪くない!  ふと見れば、雪乃が一生懸命に椅子を運んでいる。  赤い頬を更に赤くして、お気に入りのオレンジリップがよく似合ってて、タレ眉が悩みだって言うけど可愛くて、本当にお人形さんみたい。  私なんて、化粧はしないし髪は雑にポニーテール。本当に女っ気ないなぁ。まあ、雪乃と比べるほうがどうかしてるか。 「夏海、早く椅子を片付ける!」 「雪乃があまりにも可愛くて」 「可愛いのはわかったから、早く片付ける!」 「おう、自信満々ですこと」 「いいから早く!」  さすがにイライラしてきたのか、雪乃は私を適当にあしらってくれる。ちょっぴり悲しい。  生徒会の雪乃は先生以上に真面目になる。普段は溶けたバターみたいなのにな。  私もか……。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!