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「はい、これどうぞ」
私は差し出されたコーヒー牛乳を受け取る。冷たくて、何だかほどよく熱くなった身体が冷めそう。
さっきとは打って変わって、満面の笑みで苺ミルクを飲み始める春真くん。その飲み物、似合いすぎていて癒される。
いやいや。そうではなくて、この状況の説明求む。
「ごめんなさい」
なぜ私が謝られているのだろう。
さっきまで冷たい目をしていた春真くんは、私の正面に座っている。どこか落ち込んでいるようにも見えて、心配になった。
「先輩……ですよね」
「周防夏海、二年」
「あ。僕は遠野春真です」
改めて自己紹介すると、なんだか微妙な空気になってしまった。
春真くんに連れられて来たのは、放課後で誰もいない学生食堂。
とはいえ、最近は食中毒やらノロウィルスやらが危ないからと、業者と学校が話し合って食堂機能が停止。
今は自動販売機が並び、簡単なテーブルと椅子が用意されただけの場所になってしまった。
校舎から少し離れたここは結構な穴場スポットになっていて、勉強をしたり話をしたりと自由に使われている。
雪乃たち生徒会の会議もここでやっているんだとか。
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