第五話「天使くんと二人きり」

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 *** 「はい、これどうぞ」  私は差し出されたコーヒー牛乳を受け取る。冷たくて、何だかほどよく熱くなった身体が冷めそう。  さっきとは打って変わって、満面の笑みで苺ミルクを飲み始める春真くん。その飲み物、似合いすぎていて癒される。  いやいや。そうではなくて、この状況の説明求む。 「ごめんなさい」  なぜ私が謝られているのだろう。  さっきまで冷たい目をしていた春真くんは、私の正面に座っている。どこか落ち込んでいるようにも見えて、心配になった。 「先輩……ですよね」 「周防夏海、二年」 「あ。僕は遠野春真です」  改めて自己紹介すると、なんだか微妙な空気になってしまった。  春真くんに連れられて来たのは、放課後で誰もいない学生食堂。  とはいえ、最近は食中毒やらノロウィルスやらが危ないからと、業者と学校が話し合って食堂機能が停止。  今は自動販売機が並び、簡単なテーブルと椅子が用意されただけの場所になってしまった。  校舎から少し離れたここは結構な穴場スポットになっていて、勉強をしたり話をしたりと自由に使われている。  雪乃たち生徒会の会議もここでやっているんだとか。
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