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この時間になると辺りはしんと静まり返っていた。夕闇が不気味すぎて引き返そうかすでに考えてる。
まだ平気だと思ったんだけど、裏の方に来てみるとだいぶ暗い。
前の日に降った雨のせいで、桜はほとんど落ちてしまった。その姿が余計に恐怖を煽ってくる。
「まずったかな」
人がいなすぎて不安になる。ここは早く通り抜けよう。痴漢の心配はないとは思うけれど、私は幽霊にだけは出会いたくない。
「ちょっといいかな?」
「え?」
声が聞こえて私は立ち止まる。
今は第一校舎と第二校舎の間の中庭。体育館からはだいぶ離れているから生徒会たちの声じゃない。
辺りを見回してみても誰もいない。声の主は近くにいるはずなんだけど。
幽霊、じゃないよね?
違う、違う! 違うから!!
「勘弁してよね」
信じるわけにはいかなくて、私は声の主を探す。
「あの、なにか?」
今度ははっきり聞こえた。第二校舎の外にある非常階段だ。多分、二階あたり。
私は急いで非常階段を音を立てないように駆け上がる。
踊り場部分でそっと上を覗く。三階に差しかかる階段の途中、人陰が見えて私は座り込む。
――――いた!!
どう見てもいい人ではなさそうな男子生徒が二人。そして、新入生らしき男子。
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