第一話「天使くんを保護しました」

9/10

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「もしかして、怒ってる?」 「……一応、その自覚はあるみてぇだな」 「とりあえず、落ち着きません?」 「……落ち着けると思うか?」  そうですね。今、私はピンチなんですね。天使くんを保護する前に、私がピンチでどうするんですか! 一番、やっちゃいけないパターンじゃないの!!  私のバカぁ。  天使くんだって怯えて……ないね。笑ってる。空気読めてないんだけど。 「覚悟はいいか?」  いつの間にか天使くんの手を握っていた。  何とかして守らなきゃって思った瞬間、兄貴の言ったことが思い出された。 『夏海、女らしくなりたいの?』 『女らしくしないと仲間外れにされるから?』  私には兄貴が二人いる。  仲はいい方で、特に十歳も離れた上の兄貴とはよく遊んだ。下の兄貴とも五つ離れていて、殴り合いのケンカまでしたことがある。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加