1.幽霊少女のお願い

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 あらかた片付くと、小さな文机と裁縫道具が出てきた。  文机の引き出しを開けると指輪があった。  オレンジ色の石がはまった銀色の指輪だ。 「あった! これ?」  俺が指輪を見せると少女が頷いた。 「これを誰に渡せばいいの?」 「ハルカ……」 「その人は、どこにいるの?」 「……」  アヤナは黙ったまま、立ち上がった。  白いワンピースに裸足。  スーッと移動して出口に向かうかと思いきや、壁を通り抜けていった。 「おいおい。俺が通れないよ」  呆然と見送っていると、壁の中からスーッと戻ってきた。  そのまま、スーッと台所に向かった。 「ちゃんと聞こえているんだ」  口数は少ないが、意思の疎通は可能だ。 「終わったか?」 「あ、はい」 「お、何か見つけたか?」 「あ、これ、そこの机から……」 「高級な指輪か? だから、すぐに報告しろって!」 「すみません……、あの……」 「なんだ?」 「これ、相続人に渡すんですよね」 「そういう契約だからな」 「そうですよね」  勝手に持ち出して渡すことはできない。  その相続人がハルカなら万事解決なのだが。  アヤナは台所に立って待っている。
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