1.幽霊少女のお願い

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「あの、お願いがあるんですが、渡すときに俺も同席していいですか?」 「なぜ?」 「実は、この指輪は……」  こんな時、なんて言えばいいんだ? 「この指輪は……、なんだ?」 「渡すべき人がいるようなんです」 「え? まあ、そうだよな」 「その人の元に行きたがっているんです」 「急に、何を言っているんだ?」 「俺、この指輪の意思が分かるんです。ハルカという人のところに戻りたいと言っています」  どう言いつくろっても、理屈が通らない。  いっそ、開き直ったほうがよさそうだ。 「お前、大丈夫か? ああ、あれか。その指輪が欲しいのか?」 「違います。ちゃんと渡したいんです。この指輪の正当な持ち主に」 「ああ、分かった。もうすぐやってくる相続人に渡すときに一緒にいろ」 「ありがとうございます!」  俺は深々と頭を下げた。  アヤナが俺にほほ笑んだように見えた。
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