1.幽霊少女のお願い

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 初バイトが終わって、俺は自分の家に帰った。  シャワーに直行して体の汚れを落とすと、タオルで体をふきながら台所に行って冷蔵庫をあさった。  冷えた缶ビールがあったので、それを飲んだ。 「ああ、うまい!」  労働のあとのアルコールは格別だ。 「いろいろ大変だったけど、片づけたあとの清々しい気持ちは確かにあるな」  汚れた部屋が綺麗になっていく様子は、気持ちのいいものがあった。  草野がなぜこんな汚れた仕事を続けているのか、少しだけ理解できた。  そのまま、缶ビール片手に自分の部屋に入ると、アヤナがいたので驚いた。 「ワ!」  おばあちゃんじゃなく、中学生の姿だ。  俺のベッドの上で体育座りをしている。 「なんでここにいるんだ! 成仏したんじゃなかったのか!」 「……」 「え? もしかして、俺に取り憑いたんじゃないよね?」  アヤナは、黙ってニコッと笑った。 ―― 終わり
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