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「近々、とんでもない災難に見舞われるみたい」
内村莉緒が、俺の運勢について不吉なことを言った。
タロット占いにはまっているから占ってあげると言われ、ノコノコとファミレスにやってきて軽い気持ちで頼んだのだが、結果はものすごく悪かった。
「どんな災難?」
「もしかしたら、死ぬかも」
「死ぬ!?」
「ここは、未来の位置なの」
正位置で置かれた死神のカードを指した。
「これは、これから起きるとんでもない不吉を暗示しているわ」
今までも幸運だったこともないので、不吉と言われても特に驚かない。
「それで、どうしたらいいんだ?」
「気をつけるしかないわね」
対処法がないのなら、知らない方が良かった気がする。
「とにかく、しばらく警戒してね。カードがそう言っているから」
「わかった」
占いなんて馬鹿馬鹿しいと否定すれば、怒り狂って反論してくるだろうから聞き入れた振りをする。
「お待たせしました」
「きたきた」
莉緒は、運ばれてきたパスタのランチプレートを美味しそうに食べだした。
俺は、ドリンクバーのコーヒーを飲む。
「勝目君は、これからどうするの?」
「これからって?」
「仕事よ。今はバイトなんでしょ?」
「そうだけど……」
「いつまでも、バイトじゃまずいと思わないの?」
最後は生き方について怒られる。
結局、ランチを奢らされて怒られただけで、莉緒とファミレスで別れた。
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