18.死神

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(なんだろう?)  生きている人間の声じゃないことは、無反応の土屋を見ればわかる。  気になったが、依頼主の土屋が見ているので仕事の手を休められなくて、見に行くことができない。 「私が見てくるよ」  アヤナが様子を見に行き、すぐに戻ってきた。 「若い男の幽霊がいるが、とても混乱しているようだ。どうも、自分が死んだことが理解できずにいるみたい」 「死んだことに気づいていない?」 「ああ。死の直前のままで、苦しんでいる」 「どういうこと?」 「死んだばかりなんだろう」  死んだばかりなら、幽霊は死体のそばにいるものだが……。 「死因は?」 「首を盛んにかきむしって口から泡を吹いているから……、毒死?」 「いや、そうとは限らないだろう。窒息死かもよ」 「でも、窒息死するような道具はなかった」  アヤナは、再び部屋の中を見てきた。 「やはり、ない。どうやって死んだのかわからない」  気になった俺は、土屋に、「こっちも片づけますね」と許可を取り、片づけを進める振りで隣の寝室に入った。  土屋は、黙って後ろから見ている。
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