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「正直……、それが本心か」
「勘違いするな! 勝手に決めたことを怒っているんだ!」
「いいよ。別にどっちでも。ひねくれものだな……」
アヤナは、泣き出した。
「アヤナ……」
「最後に言っておきたいことがある……」
アヤナは涙を拭いた。
「なんだ?」
「初めて会った時、ゴミ屋敷だったろ? その事だ」
「ああ。そうだったな。汚かった。それが、どうした?」
「理由を知ってほしい」
「あるの?」
「ああ、今まで恥ずかしくて言えなかったけど、今日でお別れだから勇気を出して言うよ」
変なところで女心を出してくる。
「そうか。話してみろ」
興味など全くなかったが、最後に言いたいというのなら、聞かないわけにもいかない。
「ずっと一人で寂しくて、誰かに気にしてもらいたかった。それで、たまたま知り合った男と暮らし始めた」
「相手はいくつだったんだ?」
「20以上は若かったな」
「へえー。80歳と暮らすなんて物好き……」
自分も同じようなものだと気づいた。
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