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「な? もう、そろそろ限界だ。正直、本当に世話になったな」
「アヤナ……」
成仏することが自然な理ならば、俺にはもう引き留めることなんてできない。
「あの世でも元気でやっていけよ」
「ああ。それと、大事なことを言う」
「何?」
「私はいずれ生まれ変わる。どこかで巡り合えたなら、その時は気づいて欲しい」
「わかったよ」
アヤナは、右手のひらを額の上でこちらに向けた。
「さらば」
「その時まで、元気でな」
俺たちの関係に、『さよなら』なんていらない。
アヤナは天に昇っていった。
とても、清々しい笑顔だった。
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