最終話.別れ、そして……

7/9
前へ
/191ページ
次へ
◇  アヤナが成仏してから10年が経ち、俺は作家になった。  アヤナと過ごした日々を、「幽霊探偵アヤナ」というエンタメ小説にしたら、それがデビュー作となり大ヒット。  高卒フリーターだった俺が、今では「先生」と呼ばれている。  結婚もした。  行きつけの居酒屋の娘で、俺より8歳も下なのに、なぜか気に入られて仲良くなり結婚してくれた。  作家だということは結婚するまで知らず、無職のおっさんだと思っていたそうだ。相当、しょぼくれて見えたのだろう。 『なんで、無職のおっさんと結婚しようと思ったの?』 『優しそうだなって思って。仕事は気にしなかった。いざとなれば、うちの居酒屋を継げばいいって思っていたから』  楽天的なところが、嫁の魅力の一つである。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加