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家に戻ると、おばさんが出てきて、「助かったわ、ありがとう」と、俺にお礼を言った。
「お父さんのこと、ずっと誤解していた。自分の息子に無関心だとずっと思っていた。それが腹立たしくて、ずっと恨んでいた。私はこんなに悩んでいるのに、なんで平気なの? なんで止めないの? って。思わず夢枕に立っちゃった」
知らぬ間に恨まれていたおじさんも気の毒だ。
「この人に崇を任せたら死んでしまうって心配だった」
それが、心残りとなっていた。それに加えて、夫への怒りがあった。
アヤナが言った。
「おじさんは息子の崇を愛していないんじゃない。男親と女親の違いだ。息子に求めることと娘に求めることも違う。どちらがいいとか悪いとかじゃない。両方あって、丁度いい」
すかさず、合いの手を入れた。
「さすが、80歳」
おばさんがアヤナの年を聞いて驚いた。
「え? この子、80歳?」
「こうみえて、80歳なんですよ。この人」
「コラ! ばらすな!」
アヤナが怒った。
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