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「これからは、お父さんに任せておけば大丈夫ね。これで、安心して成仏できます」
「崇ももう二十歳。心配しなくても一人で生きていきますよ」
「母親は、子どもがいくつになっても心配するものなの」
だから、オレオレ詐欺が無くならない。
おばさんは、空に上がっていった。
いなくなると、アヤナと二人になった。
「お前も上がっていけばいいのに」
「いや、私は心残りができた」
「はあ?」
死んだ後に心残りができるなんて、反則だ。
「いつか、正直が80歳をバカにできないように認めさせてやる」
「いや、別にバカにはしていないけど……」
アヤナは今日も背中に乗って片づけに憑いてくる。
早く満足して成仏してくれ。
それが俺の願い。
―― 終わり
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