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男はどうしているのかと気になった。
「男はどうして失踪したんですか?」
「そこまでは知らない。俺だって、ニュースの聞きかじりだ」
「そうですか……」
恋人が事故死してしまい、世をはかなんで失踪したのだろうか。
「お姉さんは自分で部屋を片付けようと思ったが、そこにいるとどうしても体調が悪くなってしまうらしい。それで、依頼してきたんだ」
「妹さんが亡くなった部屋にいたら、体調も悪くなりますよね」
「……おい」
「はい?」
「お姉さんに、あれやこれや詮索するなよ」
「わかりました」
もし、幽霊がいても関わらずに終了しようと思った。
「ここだ」
マンションの前に止まった。
お盆休みの真っ最中だから、人の気配がなく静か。
しかし、誰もいないはずなのに感じる。
冷たくて暗くてじっとりと、何かが見ている嫌な感じ。
俺の霊感アンテナがビンビンに反応している。
(入りたくねえー)
心の中で叫んだ。
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