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そんな予感がしていたから、そんなに驚かない。
「どこ?」
「お姉さんの後ろ」
アラフォー美女の影に隠れるように、若い女性の霊がいる。
残念ながら、お姉さんに似ていない。
チラチラとこちらを見ている。
全身火傷で亡くなったと聞いたが、そのような痕はない。
「火傷の痕がないな」
「幽霊は、生前の一番良かったときの姿になることができる」
「ああ、じゃあ、君は、14歳が一番良かったということか。もしかして、15で嫁に行ったからとか? ほら、ねえやは15で嫁に行きって歌があるよね」
「江戸時代か!」
また、突っ込まれた。
「嫁入りは20じゃ。私は15で働きだした。その前が一番幸せだったということだ」
「時代の違いを考えさせられるよ」
「朝から晩まで働いて得た僅かな給金を親に渡して、いつもお金がなくて苦労した。子どもだった頃が一番幸せだった」
「はいはい」
アヤナの愚痴を聞き流しながら、掃除をする。
すると、妹の霊がやってきた。
「あなた、私が視えるの?」
「はい」
相手にしないでいようと思ったが、強引に話し出した。
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