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「今日は、一人暮らしのお年寄りが亡くなった部屋の片づけをする」
「そうですか」
(お年寄りが亡くなった部屋かあ……。遺品がたくさんあるのかな……)
俺はあることが心配になった。
「えーと、つかぬ事を聞きますが、部屋で亡くなったんじゃないですよね?」
部屋で一人暮らしの人が亡くなって発見が遅れると、後始末が大変だとネットで読んだことがある。
とんでもない数の虫が部屋中を飛び交い這いずり回り、床は人体から出た水分で腐り、そこにいるだけで体に死臭がしみ込んでとれなくなったりするらしい。
「それは大丈夫だ。今日のは部屋で死んでいない」
「ああ、良かった……、て、え?」
今日は違うってことは、そういうときもあるということで……。
初回からそんなのにぶち当たったら、即日辞めるかもしれない。
(そうか。そういう理由で辞めてしまうこともあるんだな……)
人がいつかない仕事。
それを続ける草野が凄い人に見えてきた。
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