4.人の恨みに要注意

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「奈美さん、申し訳ないけど、真実がわかっても、俺からは何も言えません」 「いいです。私、自分で復讐します」 「復讐?」  さらに物騒な話になってきた。 「怨霊となって、彼氏を呪い殺すつもり?」 「いいえ。私、二人の子どもに生まれ変わる。そして、肇の一族を全員食い殺してやる」  怒りの矛先は、彼氏だけに収まらなくなったようだ。 「肇がいなくなった理由がわかってスッキリした。新たな目的もできたし、私、これで成仏します。手伝ってくれてありがとう」  恐ろしくも悲しい笑顔を浮かべたまま、奈美は空に上がっていった。  一応、成仏はしたようだ。 「アヤナ、彼女の怒りもわかるだけに、俺には復讐を止められないよ」 「人の恨みが一番怖い」 「そうだな」  草野がやってきた。 「帰るぞ」 「はい」  摩美がきて、「これ、後で食べて」と、手作りのクッキーをくれた。  摩美さんの笑顔が、今日一番の救いとなった。  妹は殺されたのかもしれないなんて、知ったところで恨みの連鎖が始まるだけ。  お姉さんにはずっと笑顔でいて欲しいから、何も伝えずにマンションを後にした。  アヤナが俺の背中で、「彼氏は自業自得。こういうこともある。気に病むな」と、落ち込む俺の気が済むまで慰めてくれるのだった。 ―― 終わり
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