1.幽霊少女のお願い

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 部屋の隅にたくさんのぬいぐるみがあった。  ゴミとは違い、ピラミッド型に綺麗に並んでいる。  生前は可愛がられていたのだろうか。  クマのぬいぐるみを手に取って見てみると、手作りだった。  次々と見てみる。 「これもか……、これも……」  イヌ、ペンギン、ネコ、キリン、サル……。  動物好きだったのだろう。  縫い目がへたくそながら、愛嬌のある顔をしていて、ここにきて持ち主の正常な一面が見られた気がした。  隣の部屋から草野が叫んだ。 「時間がないからスピードを上げろ」 「はい」  俺は、ぬいぐるみをまとめて袋に入れようと、山を崩すと、中から中学生ぐらいの少女の顔が出てきたので度肝を抜かれた。 「ウワアアアア!」  少女の体は、ぬいぐるみに囲まれていた。 「おい! どうした!」  草野が飛び込んできて、俺を見てから視線の先のぬいぐるみの山を見たが、少女に気づいていないようで驚かない。
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